ネイティブさんも大したことないね
翻訳と通訳ガイドの二刀流実現に向け、現在自主トレ中。今月末には、いよいよ春期キャンプ(通訳案内士団体主催の研修ツアー)に参加する。
去年、通訳案内士の試験に備えてみてわかったこと。僕は日本のことを何も知らなかった。
能や狂言、人形浄瑠璃といった伝統芸能だけではない。わびさびとは一体なんなのか。日本人の美意識のどの辺が独特なのか。
自主トレの一環として、アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトが敵国日本の分析をもとに書いた「The Chrysanthemum and the Sword」(菊と刀)を読んだ。
欧米の文化がguilt culture(罪の文化)であるのに対し、日本の文化はshame culture(恥の文化)。時代が違う上、この人は当時の情勢のため日本を自分の目で見られなかったということもあり、内容はうなずけるものばかりではないが、確かに「他人の評価を気にしがち」という面は今もあると思う。
自分もそうだ。オリンピックで盛り上がるなか、日本のアスリートたちの快挙、彼らの並外れた努力が報われたことを喜ぶだけでは飽き足らず、「海外の人たちはこれをどう見てるんだろう?」と気になってしまう。別に自分がショートプログラムで完璧な演技をしたわけでも、過剰な期待に応えてオリンピックレコードで500mを滑り切ったわけでもないのに。
海外メディアの報道を読むだけでなく、コメント欄にも目がいってしまう。ルックスに不釣り合いな礼儀正しさも魅力的な、ウチの平野歩夢はどうなの?とヤホーで見つけた記事のタイトルはこうだった。「White puts young pretender Hirano in his place」
pretender?ウチのアユムがpretender(見せかけだけのハッタリ野郎)ってどういうこと?だが記事の内容な完全に好意的だ。きっと特別な意味があるに違いないと思って調べると、pretenderには「王位継承者」という意味があるそうだ。知らなかった。
見出しに使われるくらいだから、ネイティブさまにとってはそんなの常識なんだろうな。まだまだ修行が足りんわ。そう思いながらコメント欄を見てみると、
「おいおい、アユムがpretenderって、この競技を初めて見たドシロウトかよ!」
9割方こんなコメントだった。
二刀流というのは、通訳ガイドに力を入れて翻訳をおざなりにするということでは決してない。
翻訳面での今年の目標の一つは「英文の質をネイティブと互角以上まで引き上げること」。ネイティブさまも決して完璧ではないと少し安心しつつ、いやいや敵失を喜んでいるようではオリンピアンたちのような高みには一生到達できまいと、気を引き締めるのであった。
無事第一志望の高校に合格した長男への、次男の祝福メッセージ。トムとジェリーみたいな兄弟ですが、これでも祝福なんだと僕にはわかります。たぶん(^^;