こんにちは、北カリフォルニアの会議通訳者、EJEXPERT代表のブラッドリー純子です。
先日サンフランシスコに出張があり、2.5日間のソロ同通をしてきました。
ソロ同通とは、通常は2名体制の同時通訳を一人ですること。
同時通訳は消耗する業務なのでクオリティを維持するために15〜20分交代で行います。
パネルディスカッションやプレスカンファレンスなどはだいたい10分交代。
もちろん、通常のビジネス会議やカンファレンスの講演でソロ同通は無理なのですが、一つだけ例外があります。
マーケティング調査会社による消費者インタビューの通訳です。
これがね、アメリカでは結構多いんです。
私が定期的に受けているものは、次の2つの形式で行われるものです。
FGI = フォーカスグループインタビュー
(対象者7〜8名とモデレータ)
IDI = インデプスインタビュー
(対象者とモデレータの一対一)
これまで経験した主な分野はこんな感じ。
🔘モバイルデバイス
🔘マルチプリンター
🔘ゲームソフト
🔘ドローン機
🔘デジタルカメラ
🔘スキンケア製品
🔘温水洗浄便座(今回)
半分は2名体制、あとはソロ同通でした。
ソロ同通は、インタビュー通訳でも日本ではありえないかもしれませんが
アメリカでは同通レベルの通訳者が限られているため
決して珍しい事ではありません。
リピーターのクライアントから指名で依頼をいただきました。
インタビュー中クライアントと通訳者は、隣接しているマジックミラー越しに対象者を観察できるようになっています。
もちろんこちら側は真っ暗になるので向こうの部屋からは見えません。
向こうは天井にマイクが付いていて、こっちの部屋の天井にスピーカーが付いています。
案件によって異なりますが、だいたい一日中こもって毎回60分のインタビューを繰り返し同時通訳をします。
インタビューは録画録音されてデータとして活かされます。
食事はケータリングか出前。飲み物や軽食は豊富に常備されています。
休憩時間はありますが、クライアントとモデレータの間で逐次通訳をしなければならない場合も。
今回は1日10時間勤務だったので朝ホテルでエクササイズをしたり、ストレッチをしたり。
脳の活性化には、チョコレートよりもカフェインよりも運動や呼吸法が一番効果的だなと感じます。
青空をジェット音を立てて飛んで行く飛行機を見て
また旅に出たいな〜と思ってしまいました。
どんだけ旅好きやねん
余談ですが、飛行機って実際に乗ってるより飛んでるのを見るほうが遥かに良いですよね。
さて、今回の案件テーマはアメリカではそれほど普及していない
温水洗浄便座🚽
うちにも2台あるので、けっこう馴染みのある分野です。
夫は昔から温水洗浄便座の大ファン
20年ほど前は日本からお取り寄せでしたが。
去年この家を建てた時にも設計の段階から一体型と決めていたそうです。
我が家はコレなしでは生きて行けない身体になってしまったわけです。
自分たちが普段何気なく使っている製品にも、
どれくらいメーカーが研究開発や商品戦略に力を入れているのかがわかりとても勉強になります。
こういったインタビュー通訳でソロ同通が可能なのは、毎回流れが同じで対象者が変わっても質問内容は変わらないから。
もちろん対象者の回答は予測できませんが、質問内容はあらかじめ英語と日本語の資料があることがほとんど。
60分を同通するのは大変ですが、内容によってはできないということはありません。
15分を30分、30分を45分と訓練すれば持久力とスタミナは付いてきます。
もちろん冒頭にも言ったように、インタビュー通訳という特定の案件だけですけどね。
私はいつも自分のレベルよりちょっと高い所を目指すようにしているので
こういったチャレンジな案件は好きです
...,.変態ではありません。
今回も60分のセッションを1日に8回、それプラスブリーフィングの通訳も。
これだけのボリュームを1人でというのはやっぱり大変かなぁとも思いましたが
2名体制はムリとのことだったので仕方ない。
思っていたよりエネルギーが持続できて
最終日の夜のブリーフィングは皆さん早く引き揚げたいだろうなと思い
時間をカットできるよう日英同通させていただきました。
ラストスパートってやつです
私たち通訳者は裏方に過ぎません。
会議が成功するように、いかに臨機応変に動けるかでクライアントの評価も違ってきます。
そして何事も
為せば成る
の精神で立ち向かえば
意外に何とかなるものです。
私の好きな言葉のひとつです。
今いる場所より
もっと高い所に行くためには
チャレンジし続けること。
自分を変えたいと思うなら
チャレンジしてみるしかないのです