在宅通訳とは

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在宅通訳とは

在宅通訳とは、リモート通訳サービス(遠隔通訳サービス)のひとつで、通訳者が自宅から通訳サービスを提供する方法です。コミュニケーションツールには、従来からある電話回線、通話アプリ(LINE、Skypeなど)、Web会議システム(Zoom、Teamなど)が利用できます。

コールセンター等に通訳者が出勤して常時待機するオペレーター型遠隔通訳サービスとの違いは、通訳者が自宅のパソコンやタブレット、スマートフォンを使用して通訳業務を行うところです。仲介業者を入れずに、直接、通訳者に依頼すれば、仲介手数料分を節約できます。

メリット

新型コロナウィルス Covid-19 の感染拡大が持続する中、従来型の通訳サービスは、通訳現場で依頼者と通訳者が密集する形で実施されるため、感染リスクが高く、極めて危険です。現状で、安全性が確実な通訳サービス提供方法は、在宅通訳しかありません。

通訳者に移動の負担が無く、拘束時間を最小化できるため、低価格でのサービス提供が可能。短時間の小口案件でも低予算で依頼がしやすい。 通訳者側が、静かな家庭内で、高品質なヘッドセットを使用し、高速ネットワークを利用するなど環境条件が整っていれば、費用対効果(コスパ)の高いサービスが実現します。

高機能なWeb会議室システム(アプリ)を利用すれば、会議の参加者全員が別々の場所にいるような状況でも通訳サービスが実現します。

マイク・カメラを装備したパソコンが無いときは、インカメラ付きのスマートフォンでも代用になる場合があります。スマートフォンのスピーカーフォン機能は通話品質が比較的良好です。スマートフォンに付属のイヤフォンマイクを使えば、さらに高音質が期待できます。通話中に画面が消えたりしないよう、あらかじめ省エネモードをオフしておくことを忘れずに。スマートフォン用のスタンドを使って確実に設置しましょう。

〇配信/講義/録音/ポッドキャスト/実況用に設計され、リモート通訳にも適したダイナミックマイク
audio-technica USB ダイナミックマイクロホン ATR2100x-USB
この価格帯では音質が比較的良好で環境ノイズを拾いにくい。USB接続マイク
⇒パソコン内蔵マイクからの最初のステップアップに

デメリット

依頼者にとって

アテンドやリエゾンなど、おもてなし系のサービス要素が無くなる。ちょっとした付帯業務を頼むことができない。

依頼者と通訳者にとって

コミュニケーションツールやネットワーク、家庭環境の影響を受けやすい。クラウドやサーバーを経由するサービス提供方法では音声の遅延時間が発生してテンポの良い通訳が困難になり、間延びした印象になることもある。音声品質が悪くて聞き取り難いことがある。

通訳者側がヘッドセットまたはイヤフォンマイクを使用せず、ノートパソコンに装備されているマイクとスピーカーで代用する程度では、音声品質が悪すぎて正確な聞き取りができず、通訳業務に支障をきたすことがある。

通訳者にとって

通訳者がその場に参加していないので、現場の空気感がつかみにくい。前後の文脈(会話)やそれまでの経緯が欠落してしまうため、言葉の裏にある意図や目的を理解しにくい。音声だけでは話し手の表情が見えないので言外の微妙なニュアンスをとらえられない。
家族が出す物音など生活音がマイクから入ってしまうことがある。

サービス提供方法(コミュニケーションツール)

電話回線

音声周波数帯域幅を除いて通話品質が高く、安定していて、遅延時間も少ない。グループ通話(三者通話、パーティーライン)を利用する。 音声のみの情報しか得られないため、通訳者が現地の状況をつかみにくい。

⇒固定電話、携帯電話

通話アプリ

通話に要するコストが最も低い。タイムラグはあるが、映像情報を観ることができるアプリもある。 アプリやサーバーによっては、遅延時間が大きすぎて、通訳に支障がでることもある。

⇒LINE、Skypeなど

Web会議システム

テレワークなどで使用した経験のある人が多く、通訳にも導入しやすい。実績が豊富で安定した通話環境が実現する。複数人数の音声を同時に拾える。比較的広い範囲の映像情報を観られる。高度なWeb会議システムでは、多数の参加者が別々の場所にいても通訳サービスを提供できる。

⇒Zoom、Team、Meetなど

Zoomの言語通訳機能

Zoomには、多言語による同時通訳サービスを実現する言語通訳という機能があります。言語ごとに通訳者を割り当てることによって、視聴者は、自分の言語を選択して同時通訳サービスを受けることができます。言語通訳を利用するには、ビジネス、教育、エンタープライズのアカウント、またはウェビナーのアドオンが必要です。

通信方式の違い

クライアントと通訳者の2地点間を直接つなぐピアツーピア方式は、遅延時間が少なく、電話回線に近い通話品質が実現します。

2地点間をサーバーが中継するクラウド方式は、音声(および映像)の遅延時間が大きくなる場合があります。

新しい通信技術である、携帯電話の5Gや無線LANのwifi 6 では、高速化や安定性向上だけでなく、遅延時間の低減も図られています。

良い通訳パフォーマンスを実現するために

事前に通訳者側へ参考資料を渡しておきましょう。依頼は直前ではなく、なるべく日数に余裕をもって、通訳者が準備をする時間を設けましょう。開始前に、打ち合わせを兼ねてコミュニケーションツールをテストします。ボリュームやカメラアングルの調整などが必要です。音声の聞き取りが最もよくなる位置にマイクとスピーカーを設置します。

クラウド方式のオンライン会議で、無料プラントと有料プランが用意されている場合は、ほとんどの場合、有料プランの方が通話状況が安定していて、高音質です。

バックアップの通話方法が必須

テスト段階では良好な通話ができていても、ネットやサーバーの混雑状況は刻々と変化していきます。本番の途中で、音声が途切れるようになって、コミュニケーションに支障がでる可能性が常にあります。どのような場合でも、ビジネスの現場はやり直しがききません。万一の事態に備えて、電話回線など確実なバックアップ方法を準備しておきましょう。

ヘッドセットについて

ヘッドセットとはヘッドフォンとマイクが一体になった装置のことです。パソコンとの接続方法には有線方式と無線方式があります。Bluetoothなどの無線方式は一見便利に見えますが、それ自体に音声遅延が発生するという問題があります。業務で使用するヘッドセットは、通話品質を優先して有線方式を選びましょう。軽量な片耳タイプもありますが、外部の音を遮断できる両耳タイプの方が適しています。
有線の接続方法にはUSBと3.5mmステレオミニプラグ方式があります。USB有線方式は内臓DA/ADコンバーターの性能により音声品質が影響を受けます。3.5mmステレオミニプラグ方式は本体だけでなく、パソコン側の音声性能にも影響を受けます。安価で低品質な製品は避けましょう。

ヘッドセットを使用した場合、マイクと口の距離が最短になるため、音声以外の周囲の雑音が入りにくいというメリットがあります。

理想を言えば、全員がヘッドセットを使用するのがベストです。しかし、実際のビジネス現場においてクライアント(依頼者)側にヘッドセットを用意してもらうことは難しく、それを依頼するのも現実的ではありません。通訳者側だけでもヘットセットを使用しましょう。通訳者がヘッドセットを使用していると、信頼感がアップして印象がよくなるという副次効果も期待できます。

通訳者に人気の高いJabra Evolve40

イヤフォンマイク

イヤフォンマイクとは、イヤフォンにマイク機能が付いているものです。ヘッドセットが無い場合の代用になりますが、音質は期待できません。持ち運びしやすいので、出先での使用にも適しています。※ただし、接続プラグがスピーカー・マイク一体になっていることが多いので、ノートパソコン等に接続するためには、変換プラグが必要になります。パソコンの端子は、スピーカー端子とマイク端子が別になっているものが大半です。※iPhoneなど一部の高級スマートフォンに付属するイヤフォンマイクは、4極プラグの規格が異なるため、パソコンに接続してもマイク機能が使用できない場合があります。

単一指向性マイクと無指向性マイク

マイクには、単一指向性と無指向性という2つの種類があります。※指向性≒単一指向性
1人で話すときは、周囲の雑音を拾いにくい単一指向性マイクが適しています。会議などで複数の人が話す場合や、マイクと話し手が離れている場合は、高感度な無指向性マイクを選択しましょう。
ただし、高感度マイクは、周囲の雑音が入ってしまうという弱点があります。低感度マイクは、口元にマイクを近づけないときちんと音が入らないという特性がありますが、同時に余計な雑音が入りにくいというメリットもあります。
リモート通訳で使うときは、感度の低い(入力音量が小さい)指向性マイクをなるべく口元に近づけて使用する方法が、周囲のノイズが入りにくく、最も良好な音声入力となります。
マイクを口元に近づけると、今度はポップノイズ(息が強くあたったときや破裂音による雑音)が入りやすくなる問題が発生します。ポップノイズ対策がされている製品を選択しましょう。
単一指向性マイクにも指向性の強さに種類があり、指向性が極端に強い超指向性マイクもあります。超指向性マイクは周囲のノイズを拾わないという点では優れていますが、口の位置がわずかにずれるだけでも、音量が小さくなってしまうなどの問題が起こりやすいため、使える状況が限られます。

◆ コンデンサーマイク
高感度で高音質、オーケストラや会議など広い範囲の収音に適しています。反面、周囲の雑音を拾いやすいという弱点があります。低価格品から高価格品まで種類が豊富。デリケートで湿気に弱い。

◆ ダイナミックマイク
ボーカルやナレーション、講演、実況など声の収音に適しています。感度が低いので、口元に近づけて話す必要がありますが、周囲の雑音やノイズが入りにくい特性があります。丈夫で湿気に強い。

◆ スタジオマイク

音質にこだわりたいときは、スタジオマイクの導入を検討しましょう。※市場価格で1万円以上。
スタジオマイクは高性能で高音質、低ノイズですが、基本的にイコライザーやフィルターを通して音質を調整することが前提になります。人の声を聞き取りやすくするにも調整が必要です。また、性能を活かすためには、防音や吸音などのノイズ対策を施した静かな室内での収音が望まれますが、ソフトウェアを使ってノイズを低減することも可能です。

◆ XLR接続でオーディオインターフェースにつなぐ
もし、徹底的に音質にだわりたいのであれば、マイクの接続はUSBではなく、XLRとし、オーディオインターフェース(ミキサー)を経由して、そこからUSBでPCに接続する方法があります。

△ ほどほどにしておく
リモート通訳やウェビナー講演などでは、視聴者側がPCスピーカーや普及品イヤフォン、スマホで聞いていることが大半です。高級オーディオやモニタースピーカーを鳴らしているわけではないので、そもそも再生音の音質に期待できるはずがありません。聞き取りやすい音声であれば十分なので、マイク音質へのこだわりも、ほとほどとのところで折り合いを付けましょう。

◆ タイプ音やペン入力音
キーボードタイプやペン入力の振動が雑音としてマイクに伝わってしまうことがあります。
基本的な対策は、デスクには、重量があってしっかり安定したものを選択することです。それだけでも、振動の問題はかなり軽減されます。
もっとも簡単で確実な方法は、単体のマイクではなく、ヘッドフォンとマイクが一体になったヘッドセットを使用することです。デスクや床からの振動はヘッドセットには伝わりません。
単体マイクには、ショックマウント(マイク本体へ伝わる振動を吸収する器具)を使用すると効果的に対策できます。さらにマイクアームを使って、マイクを空中に浮かせるようにすれば、振動音の問題はほぼ解決します。
オーディオテクニカ AT8455 ショックマウント

スタジオ・マイクの参考情報

〇配信/講義/録音/ポッドキャスト/実況用に設計され、リモート通訳にも適したダイナミックマイク
audio-technica USB ダイナミックマイクロホン ATR2100x-USB

◎ノイズフィルター装備でコンデンサーマイクの弱点である環境ノイズの拾いやすさを改善した、高音質コンデンサーマイク
audio-technica USB コンデンサーマイクロホン AT2020USB-XP

◎最高の音質を求める人のためのマイクSHURE、リモート通訳に適したダイナミックマイク
SHURE MV7

ヘッドセット・モニターヘッドフォンの参考情報

〇通訳者に人気の高いJabra ヘッドセット。オープンイヤータイプで長時間使用時に疲れにくい。
通訳者に人気の高いJabra Evolve40

◎スタジオモニターヘッドフォンとATシリーズ高音質マイクが一体化した高性能ヘッドセット
オーディオテクニカ ヘッドセット ATH-M50xSTS-USB

◎聞き漏らしが許されないプロ通訳者には、最高峰モニターヘッドフォンを。
顕微鏡と評されるほどの高解像度で、微妙な音声まで確実に聞きとれる。
オーディオテクニカ ATH-M70x プロフェッショナル モニターヘッドホン

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